2014年9月27日

日常に寄り添う穏やかな音楽 ~Find Your Sense by Little Phrase~


心地よい風が吹く草原にいるような、眠りと目覚めの中間にいるような……。山口県山口市を拠点に活動する5人組のバンド、リトル・フレーズの2作目『ファインド・ユア・センス』はそんな気持ちにさせる作品です。

ポスト・ロックを軸にして、アンビエントやエレクトロニカのテイストを加えた音楽を展開しています。トータスとハルカ・ナカムラ、坂本龍一、アグラフが共演したらこうなるかも……と言えるかな。

ポスト・ロックのバンドにありがちな技巧に走るところはなく、微妙にニュアンスの異なる音やシンプルなメロディを重ね合わせていってできあがった音楽です。バンドのメンバーが奏でる音と電子音、フィールド・レコーディングで取り込んだ音をバランスよく混ぜ合わせています。これらの音の中から浮かび上がってくるピアノやギターのメロディもとてもいい。

日常に寄り添う音楽というのがあって、この作品もそのひとつです。人力による音とマシンによる音、そして自然の音という、普段の生活の中で聴こえてくるあらゆる音を使って、鮮やかな景色を描く……。そういう音楽が並んでいるからこそ、日常に寄り添う作品に仕上がっているのだと思います。

リトル・フレーズ プロフィール
山口県山口市を拠点に活動中する、橋本敏英(Guitar)、河野史孝(Bass)、津波拓樹(Drum)、松村竜也(VJ)、橋本崇広(Guitar, Sythesizer) からなる5人組バンド。ポストロック、アンビエント、エレクトロニカ、ポストクラシカルなど、様々な音楽的要素を含ませており、その上で普遍的に響くサウンドを追求し続けている。2007 年に橋本兄弟を中心に結成され、2009 年にNOVEL SOUNDS からファーストアルバム"landscape" リリース。ウェブ、雑誌などで取り扱われ、国内外のアーティスト、リスナーから評価を受けた。また、坂本龍一、Urrich Schnauss、Ametsub 等も参加したKeith Kenniff (Helios, Goldmund) の企画するコンピレーションへの参加など複数のコンピレーションにも参加するほか、主題曲を提供した映画「螺旋銀河」はドイツで行われた海外最大規模の日本映画祭「ニッポン・コネクション」で「ニッポン・ビジョンズ・アワード」を受賞するなど音楽界以外でも功績を残す。



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