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クラシカルなブラック・ミュージックを下敷きにしたヒップホップ、英国より来たる ~Yesterday's Gone By Loyle Carner~

/ 2017年7月26日 /

グライムを飛び越える、とかキャプションに書いてあるので、グライムに近いものかと思って聴いてみたら全然違いました。イギリス・サウスロンドン出身のMCであるロイル・カーナーのデビュー作『イエスタデイズ・ゴーン』。イギリスのヒップホップというから、ルーツ・マヌーヴァやディジー・ラスカルみたいなものをイメージしましたが、それとも別物であるように思います。

何しろトラックが実にクラシカル。クラシカルなソウルやジャズ、ブルース、ゴスペルをほとんど加工することなく取り込んでいる感じ。伝統的なブラック・ミュージックに忠実であるかのごときこの感覚は、スピーチ・デベルのデビュー作に近いのではないかと、そんなことを思いました。

少しばかりジャジー、そしてブルースの味わいを含んだクリーン・トーンを主体にしたエレクトリック・ギター、クールに淡々とリズムを刻むドラム、ドラムに歩調を合わせるベース、硬質な音のピアノ、遠くで鳴っているかのようなサックス……、といった音たちでトラックは構成されています。

このトラックは曇りがかった空を想起させるモノクロームな色彩を帯び、メランコリックな雰囲気を漂わせます。その上に乗るカーナーのラップは語りかけるように落ち着いていて、ポエトリー・リーディングと思える瞬間も。穏やかなしっとりとした空気を行き渡らせていくようなラップです。

この作品が漂わせるメランコリックな雰囲気はマッシヴ・アタックやジ・エックス・エックス、サンファなどに象徴される、イギリスのポップ・ミュージックによくあるもの。そう考えると、これはイギリスならではのヒップホップと言えそうです。







華やかなショウの世界にようこそ ~Chris Dave Presents The Drumhedz Radio Show By Chris Dave~

/ 2017年7月22日 /

ファンキーでタフなヒップホップ、程よく甘さを含んだ色気のあるソウル/R&B、そして楽し気なジャズ! これらの音楽が流れてきては去っていく、めくるめく展開にうっとり……。

ヒップホップやジャズの世界で大活躍するドラマーのクリス・デイヴが演出するショウの世界。ここにあるのはそんな世界であるように感じます。洗練されていてゴージャス、しかしBボーイっぽさと言いますか、野性味と言いますか、そういうヒップホップっぽさもしっかりとあります。

テンションを上げたり下げたり、ラジオのMCみたいな音声を入れたり、インタールード的な曲を挟んだりしていて、とても凝った構成になっているのが特徴。入れ代わり立ち代わり演者が登場する、華やかなショウが展開されているかのよう。狭いアパートの一室で聴いても、ゴージャズな気分になれるのではないでしょうか。

これはDJミックスと言っていい音源だとは思うのですが、DJミックスと言い切ってしまっていいものかどうか……という作りなのも事実。これはラジオを聴く感じで聴きましょう。



タフなビート・ミュージックとロマンティックなエレクトロニカの出会い ~Yggdrasil EP By Dayzero~

/ 2017年7月20日 /

日本の新星、フランスからあらわる。……と思ったら、すでにいくつか作品をリリースしていました。フランスのレーベル、オリカミ・レコーズから届けられた本作の作者であるDayzero(デイゼロと読むのかな?)なる日本人クリエイターは、いわゆる逆輸入という類の人ではないようです。

ダブステップの制作からスタートして、トラップやダウンテンポの制作に進んでいったというDayzeroの経歴を知ってから本作を聴くと、ははーん、分かる気がするなと思うのではないでしょうか。

リズムにはダブステップやトラップっぽさを、音の太さにはダウンテンポやヒップホップっぽさを、そしてウワモノの鳴り方にはエレクトロニカっぽさがある、そんな印象を受けます。

そういった音楽の中で軸が何かとなると、エレクトロニカではないでしょうか。キラキラと輝くきらびやかな電子音が降り注ぐエレクトロニカ。太くて厚みのある低音域の上に、か細く繊細な電子音が舞い落ちていく作りの曲が並んでいます。タフでロマンティックな電子音楽です。



あまりにキュートな、あまりに可憐なジャジー・ブレイクビーツ ~ jazz channel (inst​.​) By Engelwood~

/ 2017年7月11日 /

engelwoodとsimon engという2人のクリエイターによる、あまりにキュートな歌モノのジャジー・ブレイクビーツを収めた『jazz channel』。本作はそのインストゥルメンタル・ヴァージョンです。インストゥルメンタルでもやっぱりキュート。

さあ、うっとりしましょう、しっとりしましょう。部屋の照明を少し落として。心地よい眠りと、心地よい一日の終わりに導いてくれます。



南国から都市に届けられたダンス・ミュージック ~Harmonies By Lord Echo~

/ 2017年7月9日 /

常夏の音楽。南国から都市への贈り物みたいな音楽。南国の風を、湿り気を含んだ夏の風を運んでくる作品。ニュージーランドのクリエイターであるマイク・ファビュラスのソロ・プロジェクト、ロード・エコーの3作目です。

複数の曲でゲスト・シンガーを起用し、レゲエ、それもルーツ・レゲエを軸にしてソウルやファンク、1990年代の古典的とも言えるハウスを取り込んでいくスタイルの音楽を展開しています。そしてまたカリブ海周辺の音楽の響きもうっすらとあり、陽気で楽しい! それでいてクール! という、さじ加減が実にいい。音がクールにホットに踊るんだぜと語りかけてくるかのよう。

ゆらりゆらり、ふらりふらりと軽く体を揺らすのにちょうどよさそうなユル~くダンサブルなリズムと、太陽の光を吸い込み陽性を帯びた楽器の音がいいあんばいにミックスされています。

どこか都会的な洗練されたところがあるのも特徴。イギリス出身のクリエイターであるクアンティックが言っていた都市型民族音楽、これもそのひとつかと、そんなことを思いました。



ルーズで、ダーティで、イルなヴァイブスを振りまくインストゥルメンタル・ヒップホップ ~idk why but I miss you ノノ By lovibe.~

/ 2017年7月5日 /

なまめかしくてセクシーなソウルとR&B。いかがわしくてワイザツなヒップホップとジャズ。それらを交配させるとこういう音楽が生まれるのですね。交配させたのはウクライナのlovibe.なるビートメイカーでございます。

全編に漂う、アンダーグラウンドからしか、地下からしか生まれることがないであろう雰囲気と空気感。ヒップホップっぽく書くとヴァイブスですか。ルーズで、ダーティで、イルなヴァイブスに何よりも惹かれます。

あとは音。骨格だけみたいなチープな音。古いビデオテープを古いビデオデッキで再生したら聴こえてきそうな音が、実にクールなことも付け加えておかなければならんでしょう。



夏のインストゥルメンタル・ヒップホップ ~walterwarm & beatboxbandit By LAdays~

/ 2017年7月2日 /

夏の暑い日差しに焼かれて干からびてしまったような音。タイトルが『LAデイズ』というぐらいだから、ロサンゼルスの暑い日差しに焼かれた音なのでしょうか。そんな干からびた音はユルくおだやかな空気を運んできます。

前回取り上げた作品『life.』と同じテイストのチルアウト感のあるユルいインストゥルメンタル・ヒップホップが並んでいます。walterwarmとbeatboxbanditなる2人のビートメイカーによる共作です。

本作の特徴は冒頭に書いた干からびた音。この音は夏の湿った風をも含んでいるかのよう。これは夏の音楽、夏に聴く音楽です。



 
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